ゾゾが勤めている会社では持ちまわりで、毎日時事問題を取り上げて、ひと言ずつ話すことになっています。
週1回か2回まわってくるのですが、日本語が母国語ではないゾゾは毎回順番がまわってくるころなるとイライラしがちになります。
しかし今回はすでにテーマが決まっていて、その日の朝礼が終わり、会社から帰ってきました。
ゾゾ「ボクの朝礼の話、聞きたい?」
聞きました。ゾゾの話は、案外おもしろいんです。以下、要約です。
ゾゾ「最近、戦争の特集番組を見ていて思ったことがあります。戦争のことはボクが生まれる前のことなので詳しくわかりませんが、体験者の話などを聞いてみて考えたのは、戦争の始まりは力を持った人の欲だと思います。欲が大きくなり、弱い人間や国を支配していくという流れです。ボクは弱い人間ですが、ボクより弱い人はいじめません、でも、ボクより力がある人間にも負けないようにしたいと思います」
社長はもちろん、上司同僚みんないる朝礼です。
一部の人たちは顔をこわばらせていたそう。
ゾゾ「最近、同僚の太郎さん(仮)が、いじめられていたんだ。しかも相手はグループで。
みんな、自分たちもできないことを、太郎さんにやらせて、できないから、って“やる気がないからだ”とか、“できなければ努力しろ”とかいう。
ある日、太郎さん切れちゃって、顔をまっ赤にしてた。かわいそうだったよ。
今日は朝礼のあと、社長が、“小さな会社なので、力を合わせて頑張ろう、人それぞれできることは違うのでよいところを伸ばしていこう”って言ってくれたからよかった。太郎さんも、少し元気になって笑顔が見られたし」。
いじめは、子どもの世界も大人の世界もありますが、陰で行われることなので、人の目につきにくく、公にもしにくいものです。
ゾゾのすごいところは、「そういう人間はいるんだよね、仕方ない」で済まさないところ。
私にはない強さだと思うので、いいなあ、と思います。しかし今回はゾゾにとっても賭けだったとか。
ミャンマーにも、いじめはあります。
でもゾゾが言うには、いじめている方も、いじめられている方も孤立しない、できない。
「日本では、ジワジワ誰かを追い詰める感じだけど、ミャンマーのいじめは、無器用なのかな。面と向かって言ったり殴ったりして、ストレートだよな。
“やーい、お前眉毛がつながってる”とか、“前歯が開いてる~”とか。それでケンカになれば、まわりが黙ってない」。
しかも、家にいる人間も暇だから、そんなうわさはすぐ広がって、どっちにも味方がついてるから、一人ぼっちにならないのだとか。
これは大きいですね。
なにか外であっても、家に味方がいて、話しているうちに忘れてしまうとか、「そんなことがあったら、棒を持ってて殴ってこい」とかアドバイスする人もいるとか(笑)。
「近所づき合いもあるから、一人で考え込むことがない。逆に一人になりたくてもなれないからね。
あと誰かに迷惑をかけるから話せない、というのも、ミャンマーにはない考えだよね。
迷惑なんてかけて、かけられて生きるのが当たり前なんだから」。
ミャンマーも、ひと昔前よりはみんな忙しくなってきて、遊びに行っても、いつも親戚が来ている、という状況ではなくなりましたから、少しずつ暮らしも変わっていくかもしれません。
でも年をとったら、というか、子どもの手が離れたら、ミャンマーで暮らしたいなあ。
![]() |