ヤンゴンの家を出て、バガンに向かいます。運転してくれるのは義妹のご主人、ウーティントン。商売も忙しいのに、せっかく家族で遊びに来たのだから、と車を用意してくれて、運転も買って出てくれて、頭が下がります。
私たちはヤンゴンーバガンーヤンゴンの旅のつもりで2、3日分の衣類や日用品を持って車に乗り込みました。(ひとつ前の話はこちら→お義母さんの三回忌 ミャンマーの仏教のしきたりは)
ミャンマーでの車の旅は、覚悟が要ります。運転手さんも大変ですが、乗ってる方も8時間、10時間の旅。義兄の車はホンダのハイブリッドで、乗り心地がよく、大名旅行といってよいレベル。昔は中古も中古のボロボロの車に、助手席に2人、後部座席に5,6人が重なり合って乗って遠くまで行った記憶があります。あの時は死ぬかと思いました。でも一緒に乗ってる姉妹や友人はへっちゃら。ミャンマー人の心身の強さを知りました。
近年の問題は、車内の窮屈さではなく、渋滞。ここ10年の間に徐々に渋滞が目立ち始め、いまや至ることころで大渋滞。2016年時には、道路立体交差の工事が進み、タウンタウン一円には歩道橋も増えていました。訪ねるたびにどんどん変わってびっくりです。
それでも変わらないのが路上や駐車場での物売りの人たち。渋滞するのをいいことに、連なる車の窓から覗き込み、スナックや花、タバコなどを見せていきます。
こうして物を売る子たちには、あどけなさが残る子ども達も多く、胸が痛みます。ミャンマーも貧富の差が激しく、貧しい層は、いろんなものが並べらぶスーパーでも物価高のために手が出ないのが実状です。
旅の始めに、こうした花を買う人は少なくありません。車のフロントガラスに、徳の高いお坊さんのブロマイドなどを飾るドライバーが多いので、供物の一種かと思っていました(そういう意味で花を捧げる人もいるかもしれません)が、義兄は匂いがいいからだと言って、糸でつなげれた花と椿を合わせて500チャット(だいたい50円)分購入。彼の大学生の娘が飾ったピカチューのマスコットにかけていました。甘いさわやかな香りがふわっと車内に広がります。
ミャンマー人では花はとても身近。もちろん日本でも花は日常を飾りますが、ミャンマーは街のいたる所に花屋があります。菊やバラが多く、ゾゾのお母さんはいつも市場で買って仏壇に供えていました。ときどきジャスミンやバラを髪につけて。最近よくTVでも見かけるスーチーさんもいつも髪を花で飾っていますね。今はヘアクリップが普及して、花を飾る人が少なくなりましたが、20年前は多くの女性がつけていて、なんてすてきなんだろうと思ったものでした。
なんていうことを考えながら、ジャスミンが香る車で、旅を続けま~す。